賃貸住宅の敷金返還トラブル

事例

4年間住んでいた賃貸マンションを退去した。ハウスクリーニング代やクロスの張替え代等、貸主から多額の原状回復費用を請求され、敷金がほとんど戻らない。

解説

「敷金が返ってこない」「追加費用を請求された」等、賃貸住宅を退去するときの敷金精算をめぐり多くのトラブルが生じています。

賃貸住宅を明け渡した後、貸主から原状回復費用の請求明細が届いたら、立会い時に確認した損傷等であるかどうか、借主が負担すべき費用かどうか、負担割合は適切であるか等について確認し、納得できない場合は、自分が適切と思う負担額を明細書に書き、貸主と話し合いましょう。

負担額の算定にあたっては、国土交通省が公表している「原状回復ガイドライン」の基準を参考にするとよいでしょう。

ガイドラインは、借主側の負担となる原状回復費用について、次のような考え方を示しています。

1.自然損耗(クロスや畳の変色など日焼けや経過年数による自然劣化)、通常損耗(画びょうや家具の設置跡など通常の使用により生じたもの)は貸主の負担とし、借主が負担するのは、子どもの落書き、ペットによる傷跡など借主に原因のある損耗等とする。

2.借主に負担義務がある場合の借主の負担割合は、経過年数を考慮して算定し、経過年数が多いほど借主の負担割合は少なくなる。(例:クロス等は経過年数6年で残存価値は1円になる)

3.借主の負担対象範囲については、毀損部分の補修工事が可能な最低限度を施工単位とすることを基本とする。(例:クロス等は1平方メートル単位、畳・ふすま等は1枚単位)

トラブルを避けるためには、契約する前に、退去時の原状回復の条件や費用負担等についてしっかり確認することです。

また、入居前に貸主や管理会社と室内の点検を行い、室内の状態の記録や写真に残しておき、退去時も同様の点検を行って修繕が必要かどうかを確認しましょう