判断力の不十分な人の契約

事例

認知症を患っている母の家に未使用の布団がいくつかあった。

母に聞いても契約時のことをほとんど覚えていない。

解説

高齢や病気が原因で判断能力が不十分な人が、不要な契約を次々と結ばされたり、詐欺まがいの商法で大切な生活資金を奪われるケースが多発しています。

しかし、高齢者の場合家族や周囲の人が被害に気付くまで放置されることが少なくありません。

 

〇特別法による配慮:「特定商取引法」では、訪問販売において、日常生活で通常必要とされる量を著しく超える販売(過料販売)がなされた場合は契約を解除できます。

さらに訪問販売や電話勧誘販売等において「老人その他の者の判断力の不足に乗じて契約を締結させること」が禁止されています。

また「金融商品取引法」では、金融商品の取引業者等は、顧客の知識、経験、財産の状況および契約目的に照らして不適当な勧誘を行うことがないように業務を運営しなければならないとされています。

 

〇成年後見制度:契約をしたときに判断能力がなかったことを証明するのは困難な事があり、被害を回復することができない場合があります。

そこで民法では成年後見制度を設けて、家庭裁判所の審判を受けた人の契約を、一定の範囲で取り消す事が出来る事にしています。

 

〇高齢者見守りネットワークの構築:トラブルの未然防止や被害拡大防止のため、地域の民生委員、自治会、地域包括支援センターや地方自治体などの関係者は、連携して見守る必要があるでしょう。