『和泉名所図会』にみる泉州石工

 

    寛政8(1796)年に出版されたガイドブックである『和泉名所図会』には、「和泉石ハ其性細密(さいみつ)にして物を造るに自在也 鳥取荘(とっとりのしょう) 箱作(はこつくり)に石匠(せきしょう)多し」という文章と作業場と思われる松の木陰の小屋周辺で、和泉石を使って灯籠(とうろう)や狛犬(こまいぬ)、臼(うす)を作っている石工たちがいきいきと描かれています。

    江戸時代(約400~150年前)の阪南市域周辺の石工は腕がいいことから、北は仙台、南は甑島(こしきしま)にまで出向いて作品を作り、泉州の地名と名前を刻んだことから「泉州石工」を呼ばれました。石工には、採石場で石を切出す山石工、石を加工する細工石工がおり、絵図には細工石工とともに、様々な道具が描かれています。このような作業風景は、戦前までは見られましたが、機械化された今では見られなくなりました。

    阪南市では、山石工の道具475点、細工石工の道具294点を有形民俗文化財に指定しています。

 

   「 和泉石ハ其性細密にして物を造るに自在也 鳥取荘箱作に石匠多し」:「和泉石はきめが細かくて、色々なものを思いのままに造ることができ、鳥取荘・箱作(共に阪南市域)に石工がたくさんいる」という意味。

    和泉石:和泉砂岩。詳しくは『文化財あれこれ』「大阪の石 和泉石」 参照。

    甑島:鹿児島県薩摩半島から西へ約30kmに所在する列島。

和泉名所図会

和泉名所図会

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