大阪の石 和泉石

   一般に都道府県のシンボルとして、「花・木・鳥」が定められており、大阪府では、花はウメ・サクラソウ、木はイチョウ、鳥はモズがそれにあたります。

   日本地質学会は、一般の方々が大地の性質や成り立ちに関心を寄せることを目指し、平成30(2018)年5月に各都道府県特有の「県の石・鉱物・化石」を選定しました。大阪は、石が和泉山脈の和泉石(いずみいし)、鉱物が泉南地域のドーソン石、化石が大阪大学豊中キャンパスのマチカネワニに決まりました。

   大阪府の石である和泉石は阪南市とも強いつながりがあり、山中渓(やまなかだに)、桑畑(くわばた)、箱作(はこつくり)の山中に数ヶ所の石切場跡があり、灯籠(とうろう)や石臼(いしうす)などが作らました。桑畑では令和のはじめまで採石が行われ、砕石(さいせき)などに加工されています。

   和泉石を産出する和泉層群は、約1億~6千4百万年前の中生代白亜紀(ちゅうせいだいはくあき)後期の地層で、近畿地方の和泉石は和泉山脈から淡路島に分布しています。軟質のため細密な加工がしやすく、加工直後の見栄えも良いことで高い評価を受けていました。また、切り出して間もない頃に美しい青緑色をしていることから「和泉青石(あおいし)」とも呼ばれています。しかし、年の経過とともに灰色になり、表面が剥離(はくり)します。写真の一石五輪塔(いっせきごりんとう)は、向って右が室町時代前期(1392~1466年)のもの、左が近年作成したその複製品(ふくせいひん)で、経年劣化により青緑色から灰色へ変化する様子がわかります。

   泉南地域における江戸時代の石造物に好んで用いられ、今でも墓石や建築資材、城の石垣などで当時の面影を垣間見ることができます。

一石五輪塔

一石五輪塔

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