菟砥川に架かる近代化遺産 ~菟砥川橋~

    阪南市の東端を流れる男里川(おのさとがわ)の支流のひとつ、菟砥川(うどがわ)の中流付近(自然田(じねんだ))に「菟砥川橋」という橋が架(か)かっています。

    菟砥川橋は長さ約20m、幅4mの鉄筋コンクリート製で、アーチ(弓形(ゆみがた))と部材を三角形に繋(つな)いだトラスという構造(こうぞう)で橋桁(はしげた)を構成しています。

    こうした橋は鉄橋に多く、明治7(1874)年、日本で5番目に架けられた鉄橋である心斎橋(しんさいばし)も同様の構造をしています。しかし、菟砥川橋のように鉄筋とコンクリートを組み合わせたものは非常に珍(めずら)しいといわれています。

    親柱(おやばしら)には、「菟砥川橋」という橋名と「大正十五(1926)年十二月架」という築年代が刻(きざ)まれています。また、大正15年~昭和4(1929)年に東鳥取(ひがしとっとり)小学校に在職(ざいしょく)していた教員が撮影(さつえい)した当時の写真から、現在とほぼ形が変わっていないことが分かります。

    過去の修理歴(しゅうりれき)の詳細(しょうさい)については不明ですが、平成17(2005)年にカーボンファイバーを巻(ま)き付け、塗装(とそう)をして、補強(ほきょう)・補修(ほしゅう)をしたという記録があります。

    菟砥川橋は地域の近代化に寄与(きよ)した貴重(きちょう)な橋であり、地元では「たいこ橋」の名で親しまれ今も生活に欠かせない存在となっています。


    心斎橋:現在の大阪市中央区。現在は埋め立てられた長堀川(ながほりがわ)に架かっていた橋。なお、明治7年築の心斎橋は、日本に現存(げんそん)する最古の鉄橋として、大阪市の鶴見緑地(つるみりょくち)に移築(いちく)され「緑地西橋(りょくちにしばし)」と呼ばれています。

    親柱:橋などの両端に建てられた太い柱。

現在の菟砥川橋

改修前の菟砥川橋(大正15(1926)~昭和4(1929)年頃撮影)

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