大阪湾南岸のタコツボ漁具

    日本近海にはマダコ、イイダコ、ミズダコ、テナガダコなどのタコが生息していますが、大阪湾では、体長60cm程度のマダコと、胴部(どうぶ)に詰まった卵が飯粒に似ていることから名前が付いた体長20cm程度のイイダコが獲られてきました。

    狭いところに入り込むタコの習性(しゅうせい)を利用したのがタコツボ漁です。タコツボ漁は大阪湾で始まったとされ、池上曽根(いけがみそね)遺跡で出土した弥生時代中期(約2200~2000年前)のタコツボが、現在最も古いタコツボと言われています。

    阪南市域では、尾崎海岸遺跡から弥生時代末期(約1800年前)のマダコツボが出土しています。それ以降、中断する時期もあったようですが、鎌倉時代(約830~680年前)になると出土量が増えるばかりではなく、マダコツボ焼成窯(しょうせいがま)が見つかっています。一方、イイダコツボは、古墳時代中期(約1600~1500年前)から奈良時代(約1300~1220年前)までのものは出土しているものの、その後は昭和に入るまで見つかっていません。

    タコツボはいずれも素焼(すや)きでしたが、昭和になるとコンクリート製やプラスチック製のマダコツボが作られるようになり、イイダコツボでは二枚貝(にまいがい)や巻貝(まきがい)、カップ酒の容器を利用したものも使われるようになります。

    これらタコツボや仕掛けは、大阪湾南岸における伝統的なタコツボ漁の変遷を窺(うかが)うことができる重要な資料として、平成28(2016)年4月15日、阪南市の指定文化財に指定されました。

 

    池上曽根遺跡:和泉市・泉大津市に所在する遺跡。

タコツボ埋蔵文化財

タコツボ

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