宗福寺木造地蔵菩薩坐像

 

    平安時代(約1200~800年前)より盛んに信仰された地蔵菩薩(じぞうぼさつ)は、地獄に落ちて苦しみにあう死者を、地獄の入口で救済(きゅうさい)すると信じられてきました。また、子供の病気や安産の守護神(しゅごしん)として現在も親しまれています。阪南市域でも街道沿いや各寺院に、地蔵信仰の跡を今もたどることができます。

    阪南市箱作(はこつくり)の宗福寺(そうふくじ)には、温和な表情と洗練された端正な姿をとどめる、像高約52cmの木造地蔵菩薩坐像(ざぞう)が安置されています。その作風から、平安時代後期(約850年前)に造られたと思われます。もとは彩色されていたようですが、今は木の肌を見せていて、その美しい木彫りのあとに、藤原的作風の成熟がうかがえます。

    この像の胎内(たいない)には、嘉元3(1305)年12月に賢良坊(けんりょうぼう)という僧が記した墨書(ぼくしょ)が見られ、本来どこかの薬師寺(やくしじ)と呼ばれる寺院の御仏であったことが分かります。

    また、宗福寺に残る『飯峯(いいのみね)山地蔵御本尊縁起(えんぎ)』によると、地蔵像はもと箱作の山中に所在していた飯峯山地蔵寺にあったということです。旧薬師寺の御仏がどのようないきさつで飯峯山地蔵寺に伝わったかは明らかではありませんが、その深い慈悲(じひ)により、民衆を救済する地蔵の優美な姿は、今も変わることなくわたしたちに安らぎを与え続けています。

    地蔵菩薩坐像は、昭和56(1981)年6月1日、大阪府指定有形文化財に指定されました。

宗福寺

宗福寺

地蔵菩薩坐像

木造地蔵菩薩坐像

墨書

胎内の墨書

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