阪南市では、市内に存在する文化財のうち、市にとって重要なものを「阪南市文化財保護条例」に基づき市指定文化財に指定しています。これまで絵画や彫刻などに加え、盆踊りや地元の生業にかかわる「阪南らしい」ものを、有形・無形を問わず指定してきました。
令和2年4月30日、市指定文化財に『和泉国日根郡箱作村山中家文書』が阪南市有形文化財に指定されました。平成12年に阪南市文化財保護条例を施行して以来、初めての古文書指定で、総数9,497点という膨大な史料が江戸時代から明治時代にかけて連続的、かつ、比較的良好な状態で残されていました。
山中家は江戸時代に紀州から和泉国へ移ったと伝わり、箱作村や山中新田村(※1)の庄屋だけではなく、貝掛村や現在の岬町を含む一帯の大庄屋を担いました。この一帯は貞享元(1684)年から幕末にかけて、譜代大名(※2)である土浦藩土屋家の飛地領(※3)のため、山中家文書はひとつの村の情報だけではなく、飛地領支配の状況も読み取ることができる貴重な史料です。
※1山中新田村…現在の南山中(箱作と岬町との間)にあった近世の村。詳しくは「山中新田」『文化財あれこれ』 (2018年11月)を参考。
※2譜代大名…天下分け目の戦いとされる関ケ原の戦い(1600年)以前から徳川家に仕えていた者で、江戸幕府において要職を担った。
※3飛地領…各地に分散している領地のこと。土浦藩の本拠地は主に、現在の茨城県土浦市。
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