寛政8(1796)年出版の『和泉名所図会』には、「名産和泉石」が紹介されています。その内容は「(前略)近年、孝行臼というもの、此石(和泉石)を以て作る。強き魚物の類、此舂に入れ、同石の杵を以て舂和らげ、歯のなき老人に進む。味損ぜずして可也。又、引茶、白酒等にみな、この磨を用ゆる」という文章に加え、孝行臼を両手に持つ客らしき老人が描かれています。
孝行臼は、江戸時代の刊行物にも登場しており、一般的に使われていたものと思われますが、今のところ、泉南地方で現物が確認できるのは二十数点のみです。
阪南市に所在する孝行臼7点は阪南市指定文化財に指定されています。
※1 文化財あれこれ2020年2月 『和泉名所図会』にみる泉州石工 参照
※2 文化財あれこれ2019年1月 大阪の石(和泉石)参照