虫送り

    虫送(むしおく)りとは、農作物の害虫を駆逐(くちく)し、その年の豊作を祈願する目的でかつて行われていた農村行事のひとつです。虫が多く発生する初夏から夏中にかけて行われました。

    各家では2間(約3.6m)位に切った青竹の節を2~3個抜き、そこに油をしみこませた綿を詰め、上から藁(わら)を差し込み、松明(たいまつ)を作ります。日が暮れるとその松明に火を付け、上げ下げしながらまず自分の田んぼを一周し、畔の周りの草を棒でたたいて虫を追い出し、松明の火で誘い寄せます。

    自然田(じねんだ)では、瑞宝寺(ずいほうじ)の和尚さん、前後から二人で担いだ大きな太鼓(たいこ)を横手から叩く人、お寺から持ってきた鉦(かね)を叩く人、その後ろに松明の行列が続きます。

    「チンカカ カンカン(鉦の音) ドンドン(太鼓の音) 虫送り送った どこまで送った チンカカ カンカン ドンドン」と調子を合わせながら、行列は畔道を通って高田池(こうだいけ)の堤防へ向かいます。そこで持ってきた松明をかためて燃やし、最後に和尚さんが読経して虫供養(くよう)を行いました。

    虫送りは農薬が普及するまでは全国各地で見られる風物詩(ふうぶつし)でした。闇夜の畔道に続く松明の揺らめく光の列は、幻想的(げんそうてき)な光景だったことでしょう。

虫送り

虫送り
(太鼓の再現)

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