三十六歌仙扁額とは、平安時代中期(約1000年前)の歌人藤原公任の『三十六人撰』に載せられた和歌の名人三十六人の肖像画を和歌とともに描いた扁額歌仙絵の一形式で、室町時代(約600~450年前)に発生しました。
波太神社所蔵の三十六歌仙扁額は縦51.6cm、横41.0cm、額は黒漆塗りで、鍍金の金具で飾られています。
左1番 柿本人麿と右18番 中務の額には「土佐従五位下刑部権大輔藤原光成」の署名と押印が見られるため、画家は土佐光成であることがわかります。各歌仙絵の名と歌一首は、当時の公家能書家18人の筆によるものです。
土佐光成は大和絵の土佐派を再興した土佐光起の長男として京都に生まれ、延宝9(1681)年に父の跡を継いで宮廷絵所預となりました。
この扁額が描かれた年代は記載がないのでわかりませんが、光成が従五位下刑部権大輔に叙せられたのが元禄9(1696)年ですので、1700年前後と推定されます。
柿本人麻呂(ほのぼのとあかしの浦の朝ぎりに島がくれ行舟をしぞ思)
署名と押捺