○阪南市男女共同参画推進条例
平成26年3月27日
条例第1号
日本では、憲法に個人の尊重、法の下の平等として男女の性別などによる差別の禁止がうたわれており、男女平等社会の実現に向けた取組が国際社会の動きに合わせて、男女共同参画社会基本法の制定などにより進められてきました。また、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律などが制定され、男女平等を妨げる要因をなくしていく制度も整えられてきています。
阪南市においても、平成9年に「阪南市女性行動計画(サラダプラン)」を、平成19年に「阪南市男女共同参画プラン」を策定し、男女の人権が尊重され、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現するための様々な施策に取り組んできました。また、平成24年には「阪南市DV根絶宣言」を行い、市民と協働して、DV(ドメスティック・バイオレンス)をはじめとするすべての虐待に終止符を打つための取組を進めています。
しかし、社会では、未だに「男性は仕事、女性は家庭」というような性別による決めつけた役割分担の意識などが存在しています。また、配偶者からの暴力など解決しなければならない課題も多く残されています。
阪南市が、このような課題を解決し、おもいやりとふれあいがあふれる人権が尊重されるまちとなるよう、市や市民、事業者、教育関係者のみんなが一緒になって、お互いさまを合言葉に、男女共同参画の推進に取り組むことを決意し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民、事業者及び教育関係者の役割を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策について、基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の形成に寄与することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野(以下「あらゆる分野」という。)における活動に参画する機会が確保され、その個性と能力を発揮することにより、均等に成果及び利益を享受し、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 市 基礎的な地方公共団体としての阪南市をいう。
(3) 市民 市内に在住、在勤若しくは在学をする個人をいう。
(4) 事業者 市内において、営利又は非営利を問わず、事業その他の活動を行う法人その他の団体及び個人をいう。
(5) 教育関係者 学校教育をはじめ、家庭、地域、職場その他の社会のあらゆる場において教育に携わる者をいう。
(6) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及び生活の本拠を共にする交際をする関係にある者を含む。以下この号において同じ。)若しくは配偶者であった者又はこれらに準ずる親しい関係にある者からの、身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。
(7) セクシュアル・ハラスメント 職場、学校その他の社会的関係において、相手の意に反した性的な言葉や行為によって、当該言動を受けた者に苦痛若しくは不快感を与え、又は性的な言葉や行為を受けた者の対応によりその者に不利益を与えることをいう。
(8) 積極的格差改善措置 あらゆる分野の活動に参画する機会において、男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(9) 性的指向 性的意識の対象が異性、同性又は両性のいずれかに向かうのかを示す概念をいう。
(10) 性同一性障害 生物学的な性と性の自己意識が一致しないことにより、精神的な葛藤を抱え、家庭生活及び社会生活における活動に困難が生じている状態をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。
(1) 男女が個人としての尊厳を重んじられること、性別及び性的指向による差別的取扱いを受けないこと、個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 男女の性別にとどまらず、性同一性障害を有する人、先天的に身体上の性別が不明瞭である人その他のあらゆる人の人権が尊重され、かつ、配慮されること。
(3) 性別による固定的な役割分担意識を反映した制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対して、影響を及ぼさないようにされること。
(4) 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は市民、事業者及び教育関係者における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(5) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動に家族の一員として共に役割を担い、あらゆる分野における活動に参画できるようにされること。
(6) 男女が、それぞれの身体的特徴及び心身の変化についての理解を深め、妊娠、出産等に関する事項について互いの意思が同等に尊重されるとともに、生涯にわたり健康な生活を営むことができるようにされること。
(7) 男女間におけるあらゆる暴力は、互いの人権に対する侵害行為であることから、これらのあらゆる暴力が根絶されること。
(8) 男女共同参画の推進に関する取組は、国際社会における理念及び情勢と密接に関連していることから、その動向に留意して行われること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的格差改善措置を含む。以下同じ。)を総合的かつ計画的に策定し、及びこれを実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するに当たっては、国及び他の地方公共団体と連携するとともに、市民、事業者及び教育関係者と協働して取り組まなければならない。
3 市は、自ら率先して男女共同参画の推進のために体制及び環境を整備し、その他の必要な措置を講じるように努めなければならない。
(市民の役割)
第5条 市民は、男女共同参画について理解を深め、基本理念に基づき、あらゆる分野において男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、男女共同参画について理解を深め、基本理念に基づき、事業活動を行うに当たり積極的に男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、職場その他の活動の場における男女の対等な参画の機会の確保に努めるとともに、家庭生活との両立を支援するための環境整備に努めるものとする。
(教育関係者の役割)
第7条 教育関係者は、男女共同参画について理解を深め、あらゆる分野において、基本理念に配慮した教育により、男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(協働)
第8条 市、市民、事業者及び教育関係者は、男女共同参画の推進に当たっては、協働してこれに取り組むものとする。
(性別等による差別的取扱い等の禁止)
第9条 すべての人は、あらゆる分野において、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 性別又は性的指向を理由とする権利侵害及び差別的取扱い
(2) ドメスティック・バイオレンス
(3) セクシュアル・ハラスメント
(4) 性同一性障害を有すること又は先天的に身体上の性別が不明瞭であることによる人権侵害
(公衆に表示する情報への配慮)
第10条 すべての人は、公衆に表示する情報において、基本理念に反する表現、男女間における暴力を助長する表現その他人権を侵害する性的な表現を行わないよう配慮しなければならない。
(基本計画)
第11条 市長は、基本理念に基づき、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、基本計画の策定に当たっては、あらかじめ第18条に規定する阪南市男女共同参画推進審議会の意見を聴くとともに、市民、事業者及び教育関係者の意見が反映されるよう適切な措置を講ずるものとする。
3 市長は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
4 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
5 市長は、基本計画の実施状況について、定期的にその概要を公表するものとする。
(広報啓発等)
第12条 市は、市民、事業者及び教育関係者の男女共同参画に関する理解を深めるため、広報及び啓発を行うとともに、相談体制、支援策その他必要な情報の提供を行うものとする。
(調査研究)
第13条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施に必要な事項についての調査研究を行うものとする。
(附属機関等における委員の構成)
第14条 市は、その設置する附属機関その他これに準ずるものの委員その他の構成員の任命又は委嘱に当たっては、男女の比率がいずれか一方に偏らないよう努めるものとする。
(活動等への支援)
第15条 市は、市民、事業者及び教育関係者が行う男女共同参画の推進に関する活動及び取組を支援するための必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(意見及び提案等)
第16条 市長は、市民、事業者及び教育関係者から市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について、意見又は提案を受けたときは、迅速かつ誠実に応答することとする。
(被害の防止及び相談への対応)
第17条 市長は、第9条に規定する行為を防止するため、必要な施策を積極的に講じるものとする。
2 市長は、市民から第9条に規定する行為について、被害の相談を受けたときは、国等の関係機関と連携し、迅速かつ適切に対応し、被害者の支援に最大限努めるものとする。
(男女共同参画推進審議会)
第18条 男女共同参画の推進に関する重要事項について意見を聴くため、阪南市男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、委員10人以内で組織し、男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。
3 委員は、学識経験者、公募市民及び公共的団体の代表者のうちから、市長が委嘱する。
4 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。
(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和47年阪南町条例第27号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略