本願寺尾崎御坊表門の物語

    本願寺尾崎御坊(ほんがんじおざきごぼう)の表門を正面から見上げると、中国故事の一コマを表現した彫刻があります。向かって左には右の手に巻物を持ち、左足が裸足の老人が橋の上で馬に跨(またが)り、右には大龍の頭上で靴を差し出す人物が彫られています。左の老人は黄石公(こうせきこう)、右の若者は張良(ちょうりょう)という人物です。

    浄土真宗本願寺派の法話によれば、張良は若い時に軍略方法について悩んでいました。ある日、白髪の老人黄石公が夢に現れ「5日後の夜明けに土橋の上で兵法の秘巻(ひかん)を授ける。」というお告げを与えました。張良が土橋の所へ行くとすでに黄石公がいて「人にものを教えてもらうのに先生より遅く来た、もう5日経ってから出直して来なさい。」と言われました。そこで、5日後の早朝に再び出向くと白馬に跨った黄石公が現われ、橋の上から自分の履(は)いていた靴を川へ投げ入れ、「取って来い」と言いました。張良は腹を立てつつ我慢(がまん)して川へ飛び込み靴を取ろうとすると、大きな龍が現われ靴をくわえて逃げました。しかし、張良が腰の大刀(たち)を抜いて切りつけると恐れをなして靴を差し出しました。黄石公は靴を受け取り「勇気もあり、我慢もできる。」と、巻物を授けました。巻物には張良が疑問に思っていた兵法の答えがすべて書いてあり、それを読んだ張良は天下一の兵法家(へいほうか)となり、後に漢の高祖(こうそ)を助けて天下を平らげました。

    京都西本願寺の国宝「唐門(からもん)」にも同様の彫物がみられます。

 

   兵法家:戦いの方法を考える人。

   漢の高祖:漢は中国の古代王朝。高祖は紀元前202年に天下を統一し、漢の初代皇帝となった。

西本願寺尾崎御坊の表門

本願寺尾崎御坊の表門

中国故事の一コマ

橋の上で馬に跨る黄公石(向かって左)と龍の頭上で靴を差し出す張良(右)

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